-
ブログ
地震が多い日本で、住まいの安全性を高めるための様々な対策が講じられています。
その中でも、近年注目度が高まっているのが、建物の揺れを吸収・低減する「制震ダンパー」です。
しかし、「本当に効果があるのだろうか」「導入は必須なのか」といった疑問や不安を感じる方も少なくありません。
今回は、こうした声に応えるべく、制震ダンパーの役割と、その必要性について、専門的な知見を交えながら解説していきます。
制震ダンパーは本当に必要か
制震ダンパーが意味ないと言われる理由
制震ダンパーについて、「意味がない」「いらない」といった意見が聞かれることがあります。
これらの意見は、制震ダンパーが単体で十分な効果を発揮しない、あるいは耐震性能の高い住宅には不要である、といった誤解に基づいている場合があります。
しかし、近年の大規模地震の被害状況を見ると、耐震性能が高いとされる住宅であっても、一度の大きな揺れには耐えられても、その後に続く度重なる地震によって建物内部にダメージが蓄積し、徐々に耐震性能が低下してしまうケースが多く見られます。
例えば、熊本地震や能登半島地震では、一度の揺れでは倒壊しなかった住宅が、連続する地震によって構造的な損傷を受け、結果として倒壊に至った事例が報告されています。
これは、建物の強度が保たれているように見えても、目に見えない部分で損傷が進行していることを示唆しています。
制震ダンパーは地震対策として有効
制震ダンパーは、地震発生時に建物が受ける揺れのエネルギーを吸収・減衰させることで、建物へのダメージを軽減する役割を担っています。
そのため、建物の構造体を保護し、繰り返される地震による劣化を防ぐ上で、有効な地震対策となり得ます。
制震ダンパーが「意味がない」とされる意見は、制震ダンパー単体での効果を過度に期待したり、あるいは建築基準法で定められた最低限の耐震性能があれば十分だと考えたりすることから生じることがあります。
しかし、実際には、制震ダンパーは建物の安全性を長期的に維持するための重要な役割を果たしており、特に連続する地震への対策としては不可欠な要素と言えます。

制震ダンパーの効果を高めるには
耐震性能だけでは地震対策に限界がある
建物の耐震性能は、地震の揺れに対する抵抗力を高めるための基本的な要素です。
耐震等級3を取得している住宅は、建築基準法で定められた最低限の耐震性能の1.5倍の強度を持つとされ、多くの地震に耐えうる設計となっています。
しかし、耐震性能だけでは、近年のように震度5弱以上が頻繁に発生するような、連続的かつ複合的な地震に対しては限界があります。
一度の大きな揺れで建物の構造体に微細な損傷が生じても、見た目にはすぐには表れないことがあります。
しかし、こうした蓄積されたダメージは、建物の本来持つ耐震性能を徐々に低下させていく原因となります。
結果として、本来なら耐えられるはずの地震でも、建物の倒壊や深刻な被害につながるリスクが高まるのです。
制震ダンパーは耐震とセットで効果を発揮
制震ダンパーの真価は、建物の基礎となる耐震性能と組み合わせて使用することで発揮されます。
耐震構造が建物の「強さ」を高めるのに対し、制震ダンパーは地震による「揺れ」を吸収・低減する役割を担います。
この二つの機能が連携することで、地震のエネルギーを効率的に逃がし、建物へのダメージを最小限に抑えることが可能になります。
つまり、制震ダンパーは単独で機能するのではなく、強固な耐震構造を補強し、その性能を長期間維持するための補助的な役割を果たすことで、より高水準の地震対策を実現するのです。
耐震と制震を組み合わせることで、建物は地震の衝撃に強く、かつ揺れによる劣化も抑えられる、より安全で持続可能な住まいとなります。

まとめ
制震ダンパーは、単体での効果を過信せず、建物の耐震性能と組み合わせて採用することで、その効果を最大限に発揮する地震対策です。
耐震性能だけでは、繰り返される地震による建物のダメージ蓄積による性能低下を防ぎきれないという限界があります。
制震ダンパーは、この揺れのエネルギーを吸収・減衰させることで、構造体への負担を軽減し、建物の長期的な安全性を維持するために重要な役割を果たします。
耐震と制震を両輪で備えることで、地震に対する住宅の総合的な安全性が高まり、より安心して暮らせる住まいが実現できるでしょう。




