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耐震等級3でも“本当の安心”に差が出る理由
「耐震等級3ならどの家も同じ」
そう思われがちですが、実はこれは大きな誤解です。
近年よく耳にする
- 2倍耐震
- 2.5倍耐震
- 耐震等級3
これらはすべて“強そう”な言葉ですが、
中身(設計方法)を見ないと、本当の耐震性は分かりません。
本記事では
- 2倍耐震と2.5倍耐震の違い
- 耐震等級3の「落とし穴」
- 許容応力度計算がなぜ重要なのか
- 数字だけでなく「命と財産を守る耐震」とは何か
を、専門家の立場から分かりやすく解説します。
そもそも「耐震等級3」とは?
耐震等級は、建物の地震への強さを示す指標で、
等級1〜3までの3段階があります。
- 耐震等級1:建築基準法レベル(最低限)
- 耐震等級2:等級1の1.25倍
- 耐震等級3:等級1の1.5倍
ここで重要なのは、
👉 耐震等級3=1.5倍
という点です。
「え?2倍じゃないの?」
と思った方も多いのではないでしょうか。
「2倍耐震」「2.5倍耐震」はどこから来た言葉?
実は
2倍耐震・2.5倍耐震という表現は、
法律上の正式な耐震等級ではありません。
これは
- 建築基準法(等級1)を基準に
- どれくらい余力を持たせているか
を独自に分かりやすく表現した言葉です。
つまり、
- 耐震等級3(1.5倍)
- その上で、さらに安全率を積み上げ
- 2倍、2.5倍の耐震余力を確保している
という考え方です。
では、なぜ「2.5倍耐震」が可能なのか?
ここでカギになるのが
許容応力度計算
です。
許容応力度計算とは?
許容応力度計算とは、
- 柱
- 梁
- 壁
- 基礎
建物を構成するすべての部材に対し、
「どのくらいの力がかかり、どこまで耐えられるか」
を一つひとつ数値で検証する構造計算です。
簡単に言うと、
「なんとなく強そう」ではなく
「数字で安全を証明する設計」
それが許容応力度計算です。
耐震等級3でも計算方法が違う?
ここが非常に重要なポイントです。
耐震等級3は
どの計算方法で取得するかによって
安全性に大きな差が出ます。
主な耐震設計の方法
- 壁量計算
- 品確法の簡易計算
- 許容応力度計算
この中で、
最も厳しく、最も信頼性が高いのが許容応力度計算です。
「耐震等級3相当」という言葉に注意
住宅業界ではよく
「耐震等級3相当」
という表現を見かけます。
しかしこれは、
- 等級3“と同じくらい”
- 実際には正式な等級取得ではない
ケースも多く、
第三者の評価を受けていないこともあります。
本当の安心を求めるなら、
✅ 耐震等級3
✅ 許容応力度計算
✅ 証明書が出る
この3点は必須です。
2倍耐震と2.5倍耐震の決定的な違い
2倍耐震
- 建築基準法の約2倍の地震力に耐える設計
- 一般的な高耐震住宅の水準
2.5倍耐震
- 建築基準法の約2.5倍
- 余震・繰り返しの地震まで想定
- 建物の損傷を最小限に抑える設計
ここで大切なのは、
地震で「倒れない」だけでなく
地震後も住み続けられるか
という視点です。
熊本地震が教えてくれた現実
熊本地震では、
- 本震
- その後の大きな余震
が繰り返し発生しました。
耐震等級1の住宅だけでなく、
耐震等級2・3の住宅でも被害が出た例があります。
原因の多くは、
- 余力が少なかった
- 繰り返しの揺れを想定していなかった
という点です。
高性能住宅だからこそ耐震が重要
高気密・高断熱住宅は、
- 家が重くなりやすい
- 設備が多い
- 太陽光パネルを載せるケースも多い
つまり、
構造計算をしっかり行わないと危険です。
だからこそ、
- 許容応力度計算
- 2.5倍耐震
- 耐震等級3
この組み合わせが重要になります。
数字は「安心の最低条件」
2.5倍耐震だから安心、
というわけではありません。
大切なのは、
- 設計
- 施工精度
- 現場管理
- 気密・断熱とのバランス
すべてが揃って、
初めて「本当に強い家」になります。
まとめ|本当に比較すべきは“数字の裏側”
住宅を検討する際、
「2倍耐震」「耐震等級3」という
言葉だけで判断するのは危険です。
必ず確認してほしいポイントは、
- 耐震等級3は正式に取得しているか
- 許容応力度計算を行っているか
- 2.5倍耐震など、どこまで余力を見ているか
- 繰り返しの地震を想定しているか
家は、
一生で一番高い買い物であり、
家族の命を守る器です。
数字の“見せ方”ではなく、
数字の“中身”で、
本当に安心できる住まいを選びましょう。




